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先日、清家清氏設計の「保土ヶ谷の家」を見学する機会がありました。1974年竣工です。インスタント珈琲で有名なネスカフェのCMに氏が出演され、その撮影がこちらの住宅で行われたそうです。当時のCMコピー「違いの分かる男」として氏が紹介されたことで、建築家という職業が一般家庭に認知されるきっかけとなりました。

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住宅は別荘地を思わせるクヌギ林の崖に建ち、地面の傾斜に沿わせるように部屋が六つの高さに段階的に配置されていました。どの部屋からも地面に出ることできるため、当時の建築雑誌で氏は、平屋のようであると解説しています。

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屋内では、隣り合う部屋を見下げたり見上げたりと飽きることがありません。各部屋の大きさが多様で視線の通りもよくとても豊かな住宅でした。

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特に居間は天井が高く壁全面が窓となっており、木漏れ日を受けて屋外の林の中に居るかのように錯覚するほどで、住宅離れした大空間は圧巻でした。

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また、崖の上からこの住宅を眺めるともうひとつの特徴がみてとれます。形状が大変珍しい双曲放物面となっており、地形に呼応するかのように美しくうねっていました。各部屋の天井にもその形状が現れていたのですが、屋内での効果は限定的に思えました。

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実はこちらの住宅、オーナー様の死去に伴い建物解体の危機にあったそうです。現在その危機は乗り越えたものの、今後の維持に必要な修繕費に関して困難が残されているようでした。地域のたまり場として機能させようと、関係する皆様が保存活動を精力的に続けられているとのことですので、良い方策が見つかることを願いつつファログで紹介させていただきます。また修繕に関して思うのは、オリジナルの魅力にこだわって現状維持をめざす方向性と、必要な設備などを加えて建築を更新させるという二つの方向性をどのようにバランスさせるべきなのかという点です。大変貴重な建築ですので、今後も有効活用され生き続けて欲しいと願います。