前回6/24のブログで、「築古中古マンションを買って部分又はフルリノベーション」を検討される際の話を少し書きました。その中で、建物の内部だけでなく、自分では勝手に手を付けられない周辺環境や共用部もしっかり見てほしいという話をしました。
今回はこの続きとして、建物の内部での注意点の話をしたいと思います。

まず、大きく分けると見るポイントには、「目に見える部分」と「目に見えない部分」があります。「目に見える部分」は実際に目視で汚れの程度や痛み具合、作動を確認出来る箇所です。これに対して「目に見えない部分」は、壁の中だったり、床の下だったり表面的には判断が難しい部分です。そして、この「目に見えない部分」のチェックをおろそかにして表層的な部分のみで判断してしまうと後で大きな問題となるケースがありますので、その部分を重点的にお話し出来ればと思います。

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目的としてリノベーションを前提に物件を探している場合は、壁の仕上げを塗装にするのか左官にするのか予算を抑えてクロスにするのか選択肢はたくさんありますが、現地の状況でこの仕上げは出来ないとかいとう事は殆どありません。仕上げにあわせて下地の処理の工程が違うだけです。しかし、床に関してはそうは行きません。特に改装で多いのが現状がカーペットや畳で、すべてフローリングに変更したいという場合です。私たちの事例の中で多いのが床に無垢のフローリングを貼る場合ですが、無垢のフローリングの良い所は、表面の薄い層のみ木が貼ってある複合フローリングと違い肌触りやにおいが良く、調湿効果もある所です。また、時間と共に程よく味が出る点や汚れや傷もヤスリを掛けることで簡単にメンテナンスも出来る為、自分達もお勧めしている自然素材の一つでもあります。

しかし、マンションの住人とのトラブルで一番多いのが、上下階での音の問題で、現在では殆どのマンションの管理規約の中に、床のフローリング工事を行う場合、床の仕様に制限を設けられています。具体的には「LL-45」「LL-40」以上など床の仕様に遮音等級のとれた構造にする事が求められますが、この「LL-45、40」という基準をクリアするためには、実際貼るフローリングの性能だけでなく、床の下にあるコンクリートのスラブ厚まで含めた性能が求められるからです。よくマンションで使われている一般的な遮音の複合フローリングの場合、フローリングの裏にクッション性のあるスポンジのようなものが貼られていて、ぱっと見にはこのスポンジだけで遮音が出来ていると思う方もいると思います。しかし、このような商品には、専門の機関で試験をして遮音性能があることを証明する試験データが付いていますが、このデータの中に、試験の条件としてコンクリートのスラブ厚や下地の厚み・構造が書いてある為、それ以下のスラブ厚や構造でその製品を貼った場合には基準を満たす結果は得られないという事になります。このコンクリートのスラブ厚がいくつかという判断は内覧の「目に見える部分」では無いため、実際フローリングを貼る事を前提に物件を探されている方には、必ず不動産屋さんに確認して頂きたいポイントです。

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では、どのくらいのスラブ厚が必要なのかという事になりますが、今まで使った事のある又は出回っている遮音のフローリングや遮音マットの試験データの条件でコンクリートのスラブ厚が150mm未満というものは見たことがありません。150mm以上あれば「LL-45、40」をクリアする商品はある程度ありますので、フローリングという選択ができるマンションで可能性が高いです。特に、築30年、40年というマンションでは完成当時の標準仕様がカーペットのケースが多く、フローリングを想定していない為、スラブ厚が100mm、120mmという物件が多くあります。物件ご購入前であればまだアドバイスも出来るのですが、ご購入されてリノベーションのご相談にこられる方で、調べてみるとスラブが薄く、希望していた無垢のフローリングを断念された方もいらっしゃいますので、この点は是非物件を検討する際の一つの重要なポイントにして頂ければと思います。

また、もう一点注意して頂きたいのは設けられている遮音等級の種類です。現在基準となっている遮音等級には「LL-○○」と「LH-○○」という2種類があり、

「LL-○○」は、スプーンを落としたりした時の音で「軽量衝撃音」
「LH-○○」は、足音や飛び跳ねた時の音で「重量衝撃音」

をがあります。
前者の「軽量衝撃音(LL)」であれば先ほどお話ししたコンクリートのスラブ厚が150mm以上あれば、対応した製品はありますが、後者の「重量衝撃音(LH)」に関しては、コンクリートのスラブ厚、言い換えるとスラブの重さで音が伝わりにくくなる種類の音なので、スラブの上にスポンジのような軽い物を増やしてもあまり改善されず、スラブの厚み増したりして重くしないと性能を出せないと言われています。実際、構造計算されて建てられている建物スラブを後で厚くするという事は難しい為、マンションの規約で求められている等級は「LL」なのか「LH」なのか、また、「LL」や「LH」のような基準が出来る前の表現として「L-○○」という二つの意味を含んだ表現もありますので、この場合はどちらを満たせばよいのか御確認頂いた方が良いと思います。

そして、基準を満たしているからと言って下の住人の事を考えずに生活する事は良くありません。基準を満たした床であっても、カーペットとフローリングでは物を落としたり、椅子を引きずったりする事の響き方は全く違いますので、最低限の基準を満たしただけであり、下の階の方への配慮を忘れずに生活する事が重要だと思います。

今回お話しした、コンクリートのスラブ厚に関しては、是非物件をご検討する段階から御確認して頂ければと思いますが、
もし、いろいろな基準があり判断が難しい場合やどのように確認すればよいのか分からない方もいらっしゃるかと思いますので、お気軽にご相談ください。